心肺蘇生の手順について
更新日:2024年6月1日
倒れている人を見たら 心肺蘇生の手順
倒れている人(傷病者)を見たら ※すべての心停止傷病者は、感染の疑いがあるものとして対応します。
【感染防止のために】
応急手当を行う方の感染を防止するため、以下(※)の点に気をつけて行動してください。
(今後の感染症発生状況等により心肺蘇生の手順等が変更される場合があります。)
このページ下部の応急手当講習テキストや応急手当WEB講習(e-ラーニング)もご活用ください。
1.安全の確認をします。
周囲の安全を確認し、自らの安全を確保してから傷病者に近づきます。
※自分のマスクがあれば着用しましょう。
※室内の場合、応急手当を行う方が複数いれば、一人は部屋の窓を開けるなどして、室内を換気しましょう。
2.反応(意識)があるか確認します。
※反応(意識)や呼吸の確認は、倒れている人の顔と応急手当する方の顔があまり近づきすぎないようにします。
傷病者に「大丈夫ですか」または「もしもし」と大声で呼びかけ、肩を軽くたたきます。
目を開けたり反応がなければ「反応なし」と判断します。
反応があれば傷病者の訴えを聞き、必要な応急手当を行います。
3.助けを呼び、119番通報とAEDの手配をします。
「誰か来てください、人が倒れています!」と大きな声で助けを求めます。
助けが来たら具体的に依頼します。
「あなたは、119番へ通報してください!」
「あなたは、 AEDを持ってきてください!」と指示をします。
誰も来なければ、自分で119番通報を行ってください。
4.呼吸の確認をします。
傷病者が普段どおりの呼吸をしているか確認します。
傷病者のそばに座り、10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見ます。
※傷病者の顔にあまり近づかないようにします。
- 胸や腹部の動きがない場合 呼吸なし
- 呼吸の状態がよくわからない場合 呼吸なし
- しゃくりあげるような、途切れ途切れに起きる呼吸(死戦期呼吸)がみられる場合 呼吸なし
上記項目のいずれかの場合には、「普段どおりの呼吸なし」と判断します。
「呼吸の確認、1、2、3、4、5、6、普段どおりの呼吸なし」
5.胸骨圧迫をします。
※胸骨圧迫を開始する前に、倒れている人の口と鼻に、布やタオル、マスクなどがあればかぶせましょう。
胸の真ん中を、重ねた両手で「強く、早く、絶え間なく」圧迫します。
ひじを伸ばし、手の付け根の部分に体重をかけ、傷病者の胸が約5センチメートル沈むまでしっかり圧迫します。
1分間に100回から120回の速いテンポで、30回連続して絶え間なく圧迫します。
圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めるとき)は、胸がしっかり戻るまで十分に力を抜きます。
- 小児に対しては、両手または片手で胸の厚さ約3分の1が沈むほど強く圧迫します。
6.人工呼吸(口対口人工呼吸)をします。
※成人の人工呼吸は実施しません。
※小児、乳児の人工呼吸は技術を身につけていて、人工呼吸を行う意思があれば実施します。
※感染防護具(人工呼吸用のマウスピース等)があれば活用しましょう。
人工呼吸をするために気道確保をします。
片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ、あご先をあげます。
次に息を吹き込みます(人工呼吸)※小児、乳児のみ(成人の人工呼吸は実施しません。)
気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で鼻をつまみます。
口を大きく開けて傷病者の口を覆い、息を約1秒かけて吹き込みます。
※小児、乳児のみ(成人の人工呼吸は実施しません。)
傷病者の胸が上がるのを確認し、いったん口を離して、同じ要領でもう1回吹き込みます。
- 胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとします。
- 人工呼吸の間、胸骨圧迫の中断が短くなるようにします。
- 小児、乳児の場合でも、人工呼吸をためらう場合には、人工呼吸を省略し胸骨圧迫のみを続けます。
7.AEDが到着したら準備をします。
AEDを傷病者の近くに置き、電源ボタンを押します。
電源を入れると、音声メッセージが流れますので、それに従って応急手当をします。
- AEDの機種には、ふたを開けると自動的に電源が入るものもあります。
電極パッドを貼ります。
胸の右上(鎖骨の下)および胸の左下側(脇の5から8センチメートル下)の位置に貼り付けます。
- 電極パッドを貼り付ける際も、胸骨圧迫を続けます。
- 電極パッドが初めから本体につながっているものや、ケーブルを本体の差込口に入れなければならない機種があります。(いずれもAEDのメッセージに従ってください)
9.電気ショックをします。
「みなさん、離れて!!」と注意を促しながら、誰も傷病者に触れていないことを必ず確認します。
心電図の解析がはじまり、電気ショックが必要かどうかAEDが判断します。
ショックが必要な場合
「ショックが必要です!!」などの音声メッセージが流れ自動的に充電が始まります。
もう一度、誰も傷病者に触れていないことを確認し、注意を促します。
音声メッセージに従いAEDの通電ボタンを押し、電気ショックを実施します。
- オートショックAEDの場合、電気ショックボタンがなく、必要であれば自動で電気ショックを行います。
音声メッセージをよく聞いて指示に従ってください。
- 電気ショックが加わると、傷病者の腕や全身の筋肉が一瞬けいれんしたようにビクっと動きます。
- 「ショックは、不要です!」などのメッセージの場合は、ただちに胸骨圧迫を再開します。
10.心肺蘇生の再開をします。
電気ショックが完了したら、ただちに胸骨圧迫を再開してください。
胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返します。
※成人の人工呼吸は実施しません。小児、乳児の人工呼吸は技術を身につけていて、人工呼吸を行う意思があれば実施します。
2分ほど経つと、再びAEDが解析を行いますので、音声メッセージに従い応急手当を行います。
11.心肺蘇生を中止するとき
- 救急隊が到着するまで応急手当をします
倒れていた状況や時間経過、実施した応急手当、AEDの電気ショック回数などをわかる範囲で伝えます。 - 傷病者が目を開けたりした場合
傷病者が目を開けたり、普段どおりの呼吸が出現した場合は、慎重に傷病者を観察しながら救急隊を待ちます。(目が開いていても気道確保が必要な場合があります)
※傷病者を救急隊に引き継いだ後は、速やかに石鹸と流水で手と顔を十分に洗います。
※うがいをします。
心肺蘇生など応急手当を実施したことで、不安や悩みがある場合などは、下記の問い合せ先までご連絡ください。
AEDの電極パッドは、はがさず電源は入れたままにします。
AED(自動体外式除細動器)とは
AED(自動体外式除細動器)とは突然、心臓機能が停止した直後に多く見られる心臓の痙攣(けいれん)状態(心室細動)を取り除くために、電気ショックを与えて、心臓を正常な状態に戻す医療器具のことです。
AEDの操作は簡単で、電源を入れると音声メッセージで操作を誘導し、AEDが電気ショックを必要と判断した場合のみ、音声指示に従ってショックボタンを押すだけです。
注:オートショックAEDの場合は電気ショックボタンがなく、必要な時は自動で電気ショックを行います。
電源を入れた後は、音声メッセージを冷静に聞き取り、指示どおりに操作します。
パッドを貼り付けた後やショックボタンを押す時は、誰も傷病者に触れていないか必ず確認します。
注:心臓が正常に動いている人には、電気ショックを与えないようになっています。
未就学児用パッドがあれば未就学児用パッドを使用しますが、 もしなければ小学生~大人用のパッドを代用します。
(小学生以上には、未就学児用パッドは代用できません)
※下記はオートショックAED (オートショックAEDの場合は右の写真と同じ表記があります。)
(ロゴマーク 画像提供:JEITA 一般社団法人電子情報技術産業協会)
AED設置箇所(公共施設等)は関連リンクをご覧ください。
傷病者の胸が汗などで濡れている時は、タオルなどで拭き取ってからパッドを貼ります。
喉にものが詰まってしまったとき
口や喉に異物(食べ物など)が詰まったとき、異物を取り除く方法があります。
1.傷病者に反応(意識)がある場合
「喉が詰まったの?」と尋ね、声を出せず、うなずくようであれば窒息と判断します。
咳をすることが可能であれば、できるだけ咳を続けさせます。(咳がもっとも効果的です)
咳をしても取り出せない場合は、119番を誰かに頼みます。
その後、背部叩打法を試みて、効果がなければ腹部突き上げ法試み、異物が取れるか、反応がなくなるまで続けます。
1.背部叩打法
背中をたたきやすいように横に回ります。
手の付け根で肩甲骨の間を、力強く何度も連続してたたきます。
2.腹部突き上げ法 (妊婦や乳児(1歳未満)にしてはいけません)
後から抱えるように腕を回します。
片手で握りこぶしを作り、親指側をへそより上で、みぞおちの十分下方にあてます。
その上をもう一方の手で包むように握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます。
3.乳児に対する気道異物除去の方法
背部叩打法と胸部突き上げ法を実施します。
片腕の上に乳児をうつぶせに乗せ、手のひらで乳児の顔を支えながら。頭部が低くなるようにします。
もう一方の手の付け根で、背中の真ん中を異物が取れるか反応がなくなるまで強くたたきます。
胸部突き上げ法は、背部叩打とは逆に仰向けにして、胸骨圧迫の要領と同じく、2本の指で胸の真ん中を力強く数回連続して圧迫します。
出血時の止血法
体内の血液の約20%が急速に失われると、出血性ショックという重篤な状態になり、30%を失えば生命に危険を及ぼすといわれてます。
出血時の止血法としては、直接圧迫止血が基本となります。
直接圧迫止血法
血が出ている傷口の上に、清潔なガーゼやハンカチなどを重ねて、手で圧迫します。
片手で圧迫しても止血できない場合は、両手で体重を乗せて圧迫止血します。
止血の注意点
- 感染防止のため血液に直接触れないように、ビニール製やゴム製の手袋またはビニール袋を使用します。
- 出血が止まらない場合、ベルトなどで手足の根元を縛る方法もありますが、神経などを痛める場合があるので
そのための訓練を受けた人以外は行わないでください。
やけどをしてしまったとき
やけどをしたら、すぐに水で冷やすことが大切です。
ポイント
- 衣服を着ている場合は、衣類ごと冷やします。
- 氷やアイスパックは、冷えすぎるので注意します。
広範囲にやけどをした場合は、やけどの部分だけではなく、体全体が冷えてしまう可能性があるので、過度な冷却は避けます。
火事などで煙を吸ったときは、やけどだけではなく、喉や肺が傷ついている可能性があるので、救急車で病院に行く必要があります。
こどものひきつけ
ひきつけはどういう時に起こるの?
こどもは、脳や神経系が未発達のため、高熱をだした頃からけいれんが見られることがあり、多くのひきつけはこのケースと考えられ熱性けいれんと呼ばれています。
この熱性けいれんは、生後6か月から4歳頃までに多くみられ、日本人の子どもの7から8%が1回は、けいれんを起こすと言われています。
けいれんは38度以上の熱からみられますが、個人差があるため何度以上という定義はありません。
その他、てんかん、嘔吐や下痢などに伴う脱水、髄膜炎や脳炎、頭を強く打ったなどの外傷、テレビの光刺激などが引き金になり、けいれんを起こすケースがあります。
ひきつけを起こしたら?
まずあわてないことが肝心です。119番などで何を言っているのか、うまく伝わらないケースがあります。
ひきつけ(熱性けいれん)は通常、数分以内で止まり、命にかかわることや後遺症を残すことはほとんどありませんので、冷静に対処してください。
その他、こどもさんが舌をかむことも稀ですので、口の中に指や箸、タオルなどを入れたりしないでください。
また吐くとあぶないので、体を横にして楽な姿勢で寝かせてあげます。
(口の中に物を入れるというのは間違った知識です)
こどものひきつけの応急処置
親や近くに居合わせた人は、あとでけいれんの様子をきちんと説明できるように、よく観察してください。
顔色・目の動き・手足のつっぱり方や、時計をみて何分続いているかを確認する。
けいれんが10分以上続く時や、短時間にひきつけを繰り返すときは、救急車を呼んでください。(熱性けいれん以外の病気の疑いがあります)。
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