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名張市

令和6年度施政方針

更新日:2024年2月29日

 施政方針は、市民の皆様や議員の皆様に対し、市長より次年度の市政運営に対する市の基本的な考えを申し述べるものであり、例年新年度予算(当初予算)を提案する3月定例会初日に発表します。

1.はじめに

 本年1月1日に発生した能登半島地震につきまして、広範な地域で甚大な被害が発生いたしました。この度の地震により亡くなられた方々に対しまして、心より哀悼の意を表させていただくとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。本市としましても、復興に向け、引き続き職員を派遣するなど、支援を継続してまいります。

 今回の地震では、発災から公的な支援が入るまで、想定以上に時間が掛かるなどの課題が、あらためて浮き彫りになりました。本市としても、南海トラフ地震や想定を超える豪雨など新たな大災害への脅威が高まる中、改めて自助・共助・公助の体制をそれぞれの立場において確認することの必要性について、強く感じたところであり、今一度ソフト・ハード両面での防災体制の強化に努めてまいります。

 国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計が令和5年12月に発表され、本市においても人口減少が継続し、2050年には5万人となることが見込まれています。こうした中、デジタルの力も活用しながら人口減少の抑制を図る取組指針として、令和6年度は本市の地方創生に係る総合戦略を改訂いたします。

 また、持続可能なまちづくりを進めていく上で、一自治体で行政サービスを全て賄うのではなく、広域的な視点を持ち、自治体同士が連携し、互いを補うことがこれからのまちづくりには欠かせません。そういったことから、歴史的・文化的にも密接な関係があり、既にいくつかの分野で連携を進めている最大のパートナーである伊賀市と更に幅広い分野で積極的な交流や連携を図るため、定住自立圏形成協定の締結に向けた取組を進めてまいります。

 それでは、総合計画「なばり新時代戦略」に掲げる各施策体系に基づき、令和6年度の主要な取組について申し述べます。

 

2.重点プロジェクト おこす

”産業をおこす” ”若者でにぎわいをおこす” ” 地域と多様に関わる人々をおこす”

 令和6年度は、総合計画「なばり新時代戦略」2年目の年です。

 基本理念である「語れるまち なばり」。まちづくりを進めていく上での共通のキーワードとして、市民の皆様をはじめ、本市に関わる多様な方々と共有しながら、各種取組を進めてまいります。

 まず、2025年開催予定の大阪・関西万博を契機とした観光誘客等の拡大、市内経済の活性化を目指す「なばりEXPOチャレンジ」の更なる推進に向けましては、名張市産業活性化推進協議会(ナウダツ)を中心に、魅力ある付加価値の高い商品づくりに加え、新たなメニューづくりへの事業者支援、関係事業者のマッチングなど戦略的な取組を進めてまいります。
 この取組と連動するかたちで、3月23日開催の市制施行70周年記念行事では「オーガニックマルシェ」を開催し、地元有機農産物を使用した「食」が楽しめる名張を発信してまいります。

 次に、シティプロモーションの取組につきましては、令和5年度に市民参画型のワークショップにより、3つのブランドロゴ案が生まれました。多くの市民の皆様から投票をいただき、市制施行70周年記念行事において、ブランドロゴの発表と記念シンポジウムを開催いたします。
 今後、シティプロモーション戦略(実践編)の策定をはじめ、ロゴを活用した“市民発”のブランドイメージの浸透・発信(発散)、「まちの広報室」による市民視点の情報発信、また、“共生社会”や“アート”をキーワードとした東京藝術大学との連携プロジェクトの取組などを進めてまいります。
 まちを舞台に、“まちを楽しめる人”、“まちに積極的に関わる人”を増やし、様々な“やりたいことを持った人”たちがつながり、活動できる素地を作っていくことで、多様性を生み、様々な人が関われるまちへと舵を切ってまいります。
 また、この度のブランドロゴの作成に当たり、関わっていただきましたワークショップメンバーの皆様におかれましても、それぞれの地域などでまちづくりの担い手の核として、ご活躍いただけることを期待しております。

 

3.重点的に取り組む事業

 少子化が急速に進展する中、国においては、常に子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに関する取組・政策を真ん中に据える「こどもまんなか社会」の実現を目指し、令和5年4月に子ども基本法が施行され、同年12月にこども大綱が策定されました。

 そのような中、本市では、「名張版ネウボラ」をはじめ、あらゆる子ども子育て支援の取組を進めてまいりましたが、こうした支援をパッケージ化し、より分かりやすく、本市が安心して子育てできる環境にあることを市内外に発信していくことが重要です。そうしたことから、今春公開予定のシティプロモーションの専用サイト、また、市公式LINEにおきまして、本市の子育てしやすい魅力や情報を発信し、社会全体で子育て世代を応援する風土の醸成に努めてまいります。

 中学校給食の実施に向けては、青蓮寺地内でのPFI手法(BTO方式)を用いたセンター方式による実施を決定したところですが、令和6年度は本事業を実施する事業者の選定に向けた事務を進めてまいります。

 市立病院につきましては、市民の命と健康を守るため、地域に必要な医療を持続的かつ安定的に提供できる体制の構築に向けて、経営形態の見直しを含め検討を重ねた結果、地方独立行政法人への移行が最適と判断し、本年1月12日の全員協議会において、議員の皆様にご説明を申し上げました。また、今月3日間5か所において市民説明会を開催し、市民の皆様に対しまして、法人への移行を決断した経緯や今後の法人化に向けた取組等に関して、説明をさせていただいたところです。
 法人設立は、令和7年10月を目指すこととし、令和6年度は市立病院事務局を中心に準備を進めてまいりますが、市民の皆様、現に市立病院で従事している職員に対しては、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。    
 なお、設立までの間も令和5年12月に策定した経営強化プランに基づき、医業収支の改善や診療機能の充実等の取組を進めてまいります。

 名張かわまちづくり計画につきましては、新たに創出される河川親水空間と隣接するまちなかの地域資源との相乗効果による一体的な賑わい創出を目指し、名張川・宇陀川の背後地を地域振興拠点エリアとして整備を図るための基本構想策定を進めてまいります。
 なお、現在かわまちエリアとまちなかエリアの一体的整備を目指し、関係機関と国の補助事業採択に向けた協議を進めております。

 

4.各施策の主要な取組

【基本施策1 はぐくむ】

<施策名>全ての子どもを健やかにはぐくみます

 「名張版ネウボラ」の更なる充実に向け、妊婦と地域等をつなぐための仕組みを構築し、妊娠期から子育て期にわたり切れ目ない支援の強化に取り組んでまいります。また、「子育て支援員」の養成と活動支援に取り組むとともに、「こそだてサポーター」の輪を広げ、社会全体で子どもの育ちを支える風土づくりを進めてまいります。
 また、母子保健機能と児童福祉機能の機能を併せ持つ「こども家庭センター」を設置し、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへの一体的な相談支援を進めてまいります。
 加えて、延長保育や休日保育、病児・病後児保育など、社会経済環境の変化に伴う多様な保育ニーズに引き続き対応していくとともに、「なばり保育士・幼稚園教諭就職フェア」の開催等により、保育人材の確保に取り組んでまいります。
 あわせて、名張市子ども3人目プロジェクトとして多子世帯の負担軽減を図るとともに、放課後児童クラブの受入定員拡充に伴う整備など、安心して子育てができる環境整備に努めてまいります。
 発達に心配のある0歳から18歳までの子どもとその保護者に対しては、適切な支援を総合的、継続的に行うため、関係機関との連携を強化する中で、早期発見・早期支援とライフステージに合わせた切れ目のない支援に取り組んでまいります。

 

<施策名>学校で元気な「ばりっ子」をはぐくみます

 幼児教育・保育から学校教育への円滑な接続を図るために、引き続き、幼稚園、保育所(園)、認定こども園に「ピカ1先生」を派遣してまいります。
 また、「地域とともにある学校づくり」及び「子どもを核とした地域づくり」の視点を大切にして、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進を目指して取り組んでまいります。これらのことを基盤として、義務教育9年間を見据えたカリキュラムを編成し、系統性・連続性を確保した一貫した教育を行ってまいります。特に、小中学校間の段差を緩やかにするため、小学校高学年での教科担任制を充実させるなど、子どもの発達段階に応じたきめ細やかな指導・支援を行ってまいります。
 加えて、名張市特別支援教育システムに基づき、関係機関と連携して取組を進めるとともに、幼稚園・保育所(園)から中学校まで、途切れのない支援を行うために、保護者との連携を強固なものにして、個別の教育支援計画や指導計画を有効活用し、支援の充実を図ってまいります。
 平和教育については、市内各中学校からの代表生徒「ピースメッセンジャー」を募集し、平和を考える学習会や懇談会等を通して学びを深め、取組の企画・実践を重ねる中で、市民に向けて平和メッセージを伝えていく活動を進めてまいります。具体には、市内小学校に講師を招いて、平和の尊さを伝える紙芝居の上演や市内中学校における出前授業の充実のために、沖縄平和啓発プロモーション事業に応募し、学びを深めてまいります。
 また、学校施設につきましては、安全で安心な教育環境の整備のため、国の有利な財源を活用しながら、市内小中学校の主に児童生徒が利用する校舎内のトイレ洋式化整備を順次進めており、令和6年度をもって完了いたします。引き続き、学校施設の老朽対策等に努めてまいります。

 

<施策名>観光産業をはぐくみます

 令和5年度に地域が一体となって施設整備を行った「赤目小町」へ観光客を誘致する取組として、既存の観光コンテンツの高付加価値化、高齢や障害等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる体験コンテンツの造成、オオサンショウウオをテーマにした土産物の企画・販売の支援、日本サンショウウオセンターのリニューアル、Googleビジネスプロフィールを活用したDX推進の支援を行うとともに、赤目小町を訪れた方が名張市内を周遊する仕掛けづくりを行ってまいります。
 あわせて、三重県の観光マーケティング事業のデジタル技術を活用した情報発信や、官民一体となりメディアを通じた広報活動「パブリシティ」を実施いたします。
 また、東奈良名張ツーリズム・マーケティング(ENN)が中心となり、2025大阪・関西万博に来訪する観光客を誘致するためのツアー造成を行うとともに、ENNのターゲット国の一つであるフィリピンに重点を置いて、戦略的なインバウンドプロモーション及びセールスを実施いたします。
 フィリピンにつきましては、今月5日に総合大学であるパーペチュアル・ヘルプ大学と相互協力や交流の強化を目的とした覚書を締結いたしました。これを契機として、更なる観光誘客や交流などの取組を進めたいと考えております。

 

<施策名>経済をささえ、はぐくみます

 後継者不足や物価高騰など、依然として事業者を取り巻く環境が厳しい中、名張市事業承継人材マッチング支援協議会(フミダス)を通じ、事業承継を支援し、魅力ある事業所や地域の雇用を未来につないでまいります。新事業展開・業態転換等、攻めの経営への伴走型支援やデジタル支援員によるDX活用の促進など、多方面から事業者の事業継続に取り組むとともに、移住・定住希望者に対する創業支援により、市内に新しいひとや事業を呼び込んでまいります。
 また、ふるさと納税を市内の魅力ある地場産品のプロモーションの場、市内事業者の販路の一つとして捉え、事業者と共創しながら、魅力ある返礼品の拡充に努め、なばりファンを増やし、ふるさと納税の更なる獲得を目指してまいります。

 

<施策名>緑の循環を促進し、豊かな森と緑をはぐくみます

 緑の循環の促進に向け、所有者の意向調査や境界明確化の推進など、引き続き適切な森林経営管理に取り組んでまいります。また、豊かな森と緑を市民共有の財産として育むため、森林環境教育や木育の普及、拡充に取り組むとともに、名張産木材の利用促進に取り組んでまいります。

 

<施策名>協者、関係人口を増やし、「名張」らしさをはぐくみます

 名張市への移住定住を進めていくために、市外に住む子育て世帯向けへのPRや移住希望者への相談支援をはじめ、地域おこし協力隊へのサポートなど、県をはじめとする関係機関と連携しながら、きめ細やかに対応しつつ、なばりファンの増加を目指してまいります。

 

【基本施策2 つなぐ】

<施策名>地域の保健・医療・福祉をつなぎます

 地域共生のまちづくりに向けて、地域住民の見守りをはじめ、社会とのつながりを生むことで、その人の生きる力のエンパワーを目指す「社会的処方」を手掛かりとした伴走支援機能の充実・強化に取り組んでまいります。また、全世代・全対象型の相談支援や、交流の場・居場所の確保等の地域づくりに向けた支援を一体的に実施するなど、「地域福祉教育総合支援ネットワーク」による包括的な支援を進めてまいります。
 「まちの保健室」については、地域の様々な福祉資源を結ぶプラットフォームとして情報発信・認知度の向上に取り組み、相談支援体制の拡充につなげてまいります。
 また、近年の社会情勢の変化や物価高騰等を背景とした給付金や定額減税などの国の経済対策にも迅速に対応しながら、生活困窮のリスクが高い方に対し、家賃支援や就労支援、家計改善支援などの支援を一体的に行うことで生活基盤を支えてまいります。さらに、現に生活に困窮する方には生活保護制度の利用を図るなど、安心できる社会保障制度の運用を図ってまいります。

 

<施策名>文化をはぐくみ、次世代につなぎます

 「文化あふれる豊かなまちづくり」の更なる推進に向け、「名張市美術展覧会」や「名張市民文化祭」などの継続開催に加え、新たに若年層等に向けた事業を開催し、幅広い層が文化に親しみやすい環境の創出に努めてまいります。
 加えて、夏見廃寺跡や名張藤堂家邸跡等、名張が誇るべき史跡や文化施設等を活用し、地域の活性化につながる取組を進めてまいります。
 さらに、地域に根付く伝統文化を守り、継承するために「能楽」や「和文化」に関連した事業の開催及び関係団体の支援等を行ってまいります。
 令和6年度は、交流都市協定を結ぶ東京都豊島区において、本市ゆかりの文化的資源を活用した事業を行う予定をしており、本市の魅力を広く発信したいと考えております。 また、令和7年度に本市で開催予定の「日本オオサンショウウオの会」の名張大会に向け、実行委員会の設立、地域や関係団体との調整などの準備を進めてまいります。

 

<施策名>共感を生む情報発信でひと・まち・行政をつなぎます

 令和5年度に改訂した「名張市広報戦略」に基づき、全庁的に市の広報力を高めてまいります。特に、令和6年度からの市広報カラー化により、より分かりやすく、また、若者への訴求力を高めていくことで、市民と行政をつなぐ魅力ある媒体としてまいります。
 また、市公式LINEのリニューアルにより、対象者別の情報発信を開始するなど、多様な広報媒体の特徴を生かした効果的・効率的な情報発信を推進するほか、「広報eモニター制度」の創設により広聴機能の強化を図り、市民との信頼関係の構築に向けて取り組んでまいります。

 

<施策名>持続可能な住自治を未来につなぎます

 地域づくり組織をはじめ、市民活動団体や事業者など多様な主体との連携・協働によるまちづくりを継続して進めるとともに、活動の担い手不足など現在直面する課題に向き合い、持続可能なまちづくりの方向性を見いだしてまいります。
また、地域づくりを担う人材育成を図るため、「名張ゆめづくり協働塾」の開催に加え、令和6年7月には「コミュニティ政策学会・名張大会」の誘致を予定しており、全国各地の先進事例から人口減少下のコミュニティ政策の在り方を考える機会を設けます。
 さらに、学生等のまちづくり活動に関心がある方と実践されている方との交流を図り、次代を担う人材発掘や活動デビューの後押しに努めるなど、まちづくりに参画する楽しさを感じる機会の創出、ひいては活動人口の拡大につなげてまいります。

 

<施策名>ひととひと、まちとまちを交通環境でつなぎます

 名張市地域公共交通計画及び令和6年策定予定の名張市立地適正化計画に基づき、鉄道、バス、タクシー等が円滑につながり、だれもが分かりやすく安心して利用できる公共交通ネットワークの整備に取り組んでまいります。
 また、社会情勢の変化により多様化する移動ニーズに対し、適切に移動手段を確保するため、世代特性や地域特性を踏まえ、市民や地域づくり組織を含め産学官民の協働、連携により交通まちづくりを進めてまいります。

 

<施策名>ひととまちを次世代につなぎます

 総合計画を軸とする各種施策の推進、予算編成等につながる行政評価システムの再構築に取り組んでまいります。
 また、様々な地域課題に対し、高校や大学を含めた官民連携での取組を進めるとともに、新たに起業型地域おこし協力隊の導入、企業版ふるさと納税などによるパートナーシップの構築を図ってまいります。

 

【基本施策3 つくる】

<施策名>多様性を認め合える男女共同参画と多文化共生のまちをつくります

 市民⼀人ひとりが性別や国籍、人種に関わりなく、互いの違いを認め合い、安心して暮らしていけるよう、男女共同参画センター、多文化共生センター、地域づくり組織、事業所、学校などの多様な主体と連携し、支援・相談・啓発の充実に努めてまいります。
 男女共同参画社会を目指して、意識啓発とワーク・ライフ・バランスの実現、女性の活躍推進、防災における男女共同参画等の取組を進めてまいります。また、多文化共生社会の実現に向けては、情報の多言語化ややさしい日本語の普及、学校・地域と連携した支援体制の更なる充実を図り、言葉や文化の違いを認め合い、共に生きる社会を目指してまいります。

 

<施策名>少年の健全育成と生涯学習社会をつくります

 社会構造の変化に伴い、核家族化や人間関係の希薄化等が進んでいますが、子どもの育ちには多くの人たちの関わりが必要です。「子どもの居場所」を切り口に放課後子ども教室が行う体験活動への参加や、青少年育成市民会議所属団体が団体の特性を生かした活動の企画・運営をするなど子ども自身が学び、集い、結ばれる機会を作ってまいります。
 また、生涯学習により身に付けた知識や経験、技能を基に、市民が子どもにかかわるボランティアとして活動したり、高等教育機関と連携しながら地域住民が「つどう」場所で子どもも大人も集う喜びを感じる仕組みづくりを行ってまいります。あわせて、学校・地域・保護者をはじめNPO法人、高等教育機関など子どもに関わりを持つ団体、人々を「むすぶ」コーディネーターとして、地域学校協働活動推進員を位置付け、設置に向けた協議を重ねてまいります。

 

<施策名>農業・農村の新たな価値をつくります

 多彩な担い手が活躍する”なばり農業”の実現を目指し、引き続き担い手の支援や地域特産物の育成に取り組んでまいります。特に、「オーガニックビレッジ」の形成に向けては、令和6年3月の地域おこし協力隊”有機農業チャレンジ隊員”2人の着任も契機とし、より一層、地元有機農産物による「食」を名張で楽しんでいただける環境づくりを進めてまいります。
 加えて、良好な集落・営農環境づくりに向けて、関係団体と連携し、持続可能で効果的な鳥獣害対策や安心安全な農林業基盤整備を推進いたします。

 

<施策名>環境負荷の少ない社会をつくります

 国際的に取組が求められている地球温暖化対策につきましては、市役所庁舎をはじめとした公共施設の照明のLED化を進め、更にはCO₂フリーの電力利用を計画的に進めるなど、市の事業による環境負荷の低減を図ってまいります。
 加えて、再生可能エネルギーの利活用や脱炭素型のライフスタイルの推進を市民や事業者の皆様と共に取り組み、2050年までに、温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」を目指してまいります。
 また、市民・事業者・行政が、ごみの減量や4R推進を実践しておりますが、食品ロスに関する啓発活動など、更なるごみの排出量削減に努めるともに、不法投棄や不適正排出のパトロールによる監視強化を行ってまいります。
 一般廃棄物の処理につきましては、伊賀南部クリーンセンターの操業期限が令和16年3月であることから、将来にわたり持続可能なごみの適正処理を確保するため、伊賀市、笠置町及び南山城村の4市町村で、ごみ処理広域化に向けての検討を進めており、今後、4市町村による法定協議会を設置し、ごみ処理広域化に向けた基本構想の策定に取り組んでまいります。

 

<施策名>風土と暮らしが共生する魅ある都市をつくります

 集約連携型の都市構造の実現を推進するために、名張市立地適正化計画を策定し、都市機能、居住地域の高機能、高密度化を誘導しながら、市街地拠点、生活文化拠点、集落居住拠点、産業拠点等の拠点の形成を進めてまいります。
 また、拠点間を連携するネットワークの整備として、名張市地域公共交通計画を踏まえた上で、社会情勢に応じた都市計画道路の合理的な見直しを行い「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の都市形成を目指してまいります。

 

【基本施策4 すすめる】

<施策名>消防・救急体制の強化をすすめます

 複雑・多様化する火災や救助、増加する救急などの事案に的確に対応するため、消防人材育成計画に基づく隊員の教育訓練をはじめ、装備や施設の充実等、組織体制の強化を図ってまいります。また、大規模な自然災害に備えるため、消防団の充実強化による地域防災力の向上に取り組むとともに、令和6年4月からの共同消防指令センターの運用開始に伴い、伊賀市との連携・協力体制がより強固となるよう進めてまいります。

 

<施策名>未来を見据えた社会づくりを支える適正な土地利用をすすめます

 自然災害に対する危険箇所、警戒区域等の指定状況を踏まえながら、都市計画の方針に基づく用途地域の指定、変更を実施し、都市的機能の集約を誘導いたします。加えて、農業振興地域整備計画をはじめとする関係法令等に定められた農地、森林、自然公園等を適切に保全し、秩序ある土地利用に取り組んでまいります。
 また、地籍整備につきましては、所有者不明土地問題の解消や適正な土地利用及び管理を促進するため、第2次地籍調査事業実施計画に基づき、箕曲地区での地籍調査を進めるとともに、調査が完了した地区の早期認証・登記手続を進めてまいります。

 

<施策名>社会変化に対応した行政改革とデジタル改革をすすめます

 DXの取組につきましては、市公式LINEを活用し、住民ニーズに対応した多様な手続方法の確保を図るとともに、電子入札を導入し、契約事務における公正性・公平性を向上させ、事務の効率化・迅速化、事業者の利便性の向上を図ってまいります。
 公共施設のマネジメントにつきましては、老朽化が進む公共施設等について長寿命化などを計画的に行っていくため、公共施設等の劣化状況を的確に把握するための調査を実施いたします。
 働きやすい職場環境づくりにつきましては、職員が安心して働き続けられるよう相談体制の整備と職員間コミュニケーションの活性化を図るとともに、必要な人員を確保するため、職員採用を計画的に行いながら、適正な人員管理に努めるほか、職員のマネジメント能力を高めることを目的とした階層別研修などの充実により、職員の意識改革と人材育成を進めてまいります。
 また、令和5年11月に策定した収賄事件に係る再発防止対策を確実に実行し、今後二度とこのような事件が起きることのないよう職員の倫理意識を向上させ、契約事務に係るチェック体制を強化いたします。
 こうした取組と共に、活力ある組織となるよう本年4月に組織・機構の活性化に向けた見直しを行います。

 

<施策名>持続可能な財政運営をすすめます

 健全な財政運営は、安定した行政サービスの提供及び様々な行政課題に対応していくための土台となります。身の丈に合わせた持続可能な財政運営を目指し、事務事業の不断の見直しや効果的な事業の選択を行うとともに、受益者負担の適正化やクラウドファンディング、ふるさと納税等の税外収入を含めたあらゆる手法を研究し、財源確保に取り組んでまいります。

 

【基本施策5 ささえる】

<施策名>市の健康をささえます

 市民が主体的に取り組む健康づくりを総合的に支援するとともに、特定健診、がん検診の受診率向上と生活習慣病予防に取り組んでまいります。令和6年度は、名張ケンコー!マイレージ事業のリニューアルに取り組み、健康無関心層の行動変容と社会参加の機会の拡大を図ってまいります。
 また、地域づくり組織や関係機関と連携し、更なる健康寿命の延伸に努めてまいります。

 

<施策名>地域の医療をささえます

 三重県の「第8次医療計画」の策定を見据え、県、伊賀市等の関係機関や伊賀地域の基幹病院と共に、病床の機能分化・連携や新興感染症対応を踏まえた医療提供体制の構築、在宅医療の充実に係る協議を進めてまいります。
 また、二次救急医療体制の確保のため、3病院による救急輪番体制や一次医療と二次医療の適切な役割分担と連携強化に引き続き取り組んでまいります。

 

<施策名>高齢者の安心した生活をささえます

 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、介護予防や重度化防止、認知症施策、在宅医療・介護連携等の取組を進めてまいります。また、取組の効果・検証を行い、介護サービス基盤の計画的な整備や在宅生活を支えるために必要なサービス提供に向けた施策等の検討・推進を図ってまいります。
 国の令和6年度介護報酬改定や介護保険制度の改正等について、関係事業者等への周知を図るとともに、高齢者が慣れ親しんだ地域で生活を継続できるよう、地域や関係機関と連携し、医療や健康づくり、介護予防の一体的な取組等を更に進めてまいります。

 

<施策名>障害者の自立と社会参加をささえます

 名張市障害者福祉計画等に基づき、障害者が生活する上で複雑化・多様化する課題やニーズに対し、関係機関と連携しながら支援の充実を図ってまいります。また、相談支援体制の充実・強化、地域生活への移行の促進、一般就労への移行支援の強化等、必要なサービス提供体制の整備に向けた取組を推進します。障害のある人もない人も共に暮らし、学び、働く共生社会(インクルーシブ社会)の実現を目指し、全ての市民が生きがいを持って社会参加ができる仕組みづくりを進めてまいります。

 

<施策名>安全なで市のくらしをささえます

 水道施設の管路及び機械・電気設備の更新・改良を計画的に進め、安定したライフラインの確保に取り組むとともに、水道水の水源となるダムや川の水質を的確に把握し、おいしさやにおいに影響する原因物質を取り除くなど、浄水場における水質管理を維持してまいります。

 

【基本施策6 ととのえる】

<施策名>生涯スポーツができる環境をととのえます

 本市が進める「ホッケーのまちなばり」の取組が認められ、令和5年11月に「公式ホッケータウン」として公益財団法人日本ホッケー協会に認定されました。ホッケータウンとして認定された自治体は本市を含め19自治体となり、来月には認定交付式を予定しております。引き続き、三重県など関係機関と連携し、⼤会等の開催を通して市民の機運向上とまちづくりの活性化に取り組んでまいります。
 また、赤目地域において進められている総合型地域スポーツクラブ設立に向けての支援など、地域の実情に応じたスポーツ環境を整えてまいります。

 

<施策名>活動や憩いの場となる緑地や公園の環境をととのえます

 住宅団地の緑地本来の機能である快適な緑空間の創出を推進するとともに、地域づくり組織や市内のボランティア団体、NPO法人など多様な主体と連携・協力し、身近な都市公園等の適切な維持管理を行い、多くの市民にとって快適な憩いの空間確保に取り組んでまいります。また、インクルーシブ遊具の設置検討などユニバーサルデザインの理念に基づき、誰もが安心して利用できる公園整備を進めてまいります。 

 

<施策名>家や住環境をととのえます

 空き家バンク制度やリノベーション支援の実施により空き家の利活用や子育て世帯の移住・定住の促進を図るとともに、空き家の所有者等に対しては適正な管理を促し、利活用が困難な老朽化した危険な空家等については、安心安全な住環境づくりを進めるため、自主的な除却に対し、支援を行ってまいります。
 また、耐震性が不足する木造住宅の耐震化への支援を行うことで、災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。

 

<施策名>下道で快適な住環境をととのえます

 中央処理区内の未整備地の整備促進や、美旗地域への区域拡大整備を進めるとともに、中央浄化センターにおいて、生活排水処理施設の供用開始並びに水処理施設の増設事業に取り組んでまいります。また、下水道施設の老朽化対策に取り組みながら、既存施設の規模、処理方式の適正化や再編、統廃合などの検討を行ってまいります。

 

【基本施策7 まもる】

<施策名>みんなの人権をまもります

 全ての人の人権が保障され、自分らしく暮らせるまちの実現に向け、行政のあらゆる分野において人権尊重の視点に立ち、各施策を推進してまいります。これまでの人権課題に加え、性の多様性、インターネットによる差別など様々な人権課題に対しても正しく理解し、行動できるように啓発を進めてまいります。
 また、情勢の変化を踏まえ、あらゆる差別を解消し、市民一人ひとりの人権が保障され、共に支え合い助け合いながら、自分らしくいきいきと暮らせるまちの実現を行うための指針として、第4次名張市人権施策基本計画を1年前倒しして策定いたします。

 

<施策名>犯罪や交通事故からまもります

 警察や各地域で行われている防犯・交通安全の取組と連携し、様々な主体による見守りが行き届いている環境づくりに努めてまいります。
 また、消費者生活に関する相談体制の充実、啓発に取り組んでまいります。 

 

<施策名>防災・減災でまちをまもります

 南海トラフ地震やこれまで経験のないような豪雨などの大災害の脅威が高まる中、市総合防災訓練を通じた関係機関との連携、各種受援体制の構築、各地域の実情に応じた主体的な訓練への支援等により、備えを万全なものとしてまいります。特に、災害時には誰一人取り残さないという視点に立ち、配慮が必要な方の円滑な避難行動に向けた体制づくりに取り組んでまいります。
 また、土砂災害防止の砂防堰堤事業の円滑な推進などを通じ、引き続き、関係地域の皆様と共に災害に強いまちづくりに向け取り組んでまいります。

 

<施策名>生活の環境をまもります

 工業団地を中心に、事業者との自主的な規制基準等を定めた環境保全協定の締結を進め、公害の未然防止に取り組んでまいります。また、水質や大気などの各種調査を継続的に実施し、良好な水質の保全や大気汚染、土壌汚染の防止を図るなど、生活に影響を及ぼす環境負荷の低減に努め、快適で安心した生活環境を守ってまいります。

 

<施策名>道路をつくり、道路をまもります

 幹線道路のネットワーク化による代替機能の向上と広域道路網の整備を促進するとともに、ユニバーサルデザインを基本とした道路空間の質の向上を進めてまいります。
 また、名阪国道への重要なアクセス道路である国道368号の4車線化事業及び東西の基幹道路である国道165号の整備促進につきましては、国道368号改修期成同盟会及び国道165号(中和津道路)整備促進協議会において、事業主体である三重県並びに関係自治体と連携し、取り組んでまいります。
 橋梁については、法定点検を継続し、予防保全型へと管理手法の転換を図り、既存橋梁に対して効率的・効果的なメンテナンスサイクルを継続いたします。
 また、地域と連携した維持管理や事業の選定を進めるとともに、事業効果の検証を行いながら生活道路の整備を進めてまいります。
 令和5年6月の集中豪雨により被災した坂の下橋の復旧につきましては、国の災害査定の認定を受けたことにより、令和6年度からまずは橋脚の設置工事を進め、令和7年度末までに上部橋桁の設置工事を完了し、令和8年4月から新橋の供用を開始する計画で事業を推進してまいります。

5.おわりに

 以上、市政運営に対する所信と講じるべき主要施策について申し上げました。

 平成28年度以降、8年間にわたって市民の皆様、事業者の皆様にご負担いただいてきた「都市振興税」は、令和5年度をもって終了します。しかし、本市の財政状況については、昨年11月にお示しした中期財政計画(ローリング版)のとおり、都市振興税の終了に伴って、令和6年度以降、毎年1億円~10億円程度の財源不足が生じ、何の手立てもしなければ、令和10年度末で財政調整基金が枯渇してしまう、非常に厳しい財政見通しとなっております。
 こうした財政状況の中、いかに「なばり新時代戦略の推進」と「財政の健全化」のバランスを取りながら、持続可能な市政運営を行っていくことができるかが、私に課せられた責務であると認識しております。

 名張市に再び活力と賑わいを取り戻すために、全職員が一丸となり、市民の負託にお応えできるよう全力を尽くしてまいりますので、議会の皆様をはじめ、市民の皆様におかれましては、なお一層のご支援、ご指導をお願い申し上げ、施政方針といたします。

 

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令和6年度施政方針(令和6年3月)