平成29年度予算編成方針
更新日:2017年2月27日
平成29年度は、平成26年5月に策定した「行財政運営の確立に向けた取組」の最終年度として、掲げた取組事項・目標についての締めくくりを行い、成果を示していく年となります。
本市は、財政早期健全化計画等の取組が終了した平成26年度以降、行財政改革の手を緩めることなく、事務事業の総点検をはじめ、ラスパイレス指数適正化のための給与独自削減の実施、法人市民税の不均一課税やふるさと納税の推進といった自主財源確保の取組、さらに、平成28年度からは、名張躍進の土台づくりのための財源確保策として都市振興税を導入するなど、持続可能な財政運営の確立に向けた取組を推進してきました。
こうした取組は、決算数値や財政指標にも一定の効果が現れてきていますが、今後も、少子高齢化による生産年齢人口の減少傾向は続くと予想されることから、歳入面での市税収入の伸びは期待できない状況にあります。また、歳出面でも、全国平均を上回る高齢化率を反映し、障害者自立支援費や生活保護費等の扶助費をはじめ、介護給付費等への繰出金の増大が見込まれるほか、待機児童解消対策、老朽化施設の更新経費、下水道事業の進捗に伴う経費の増加や市立病院の経営健全化に向けた対応などが、財政運営上の大きな課題となっています。
平成29年度予算編成では、こうした厳しい財政見通しにありながらも、財政健全化のための取組を継続しつつ、「新・理想郷プラン」に掲げる3つの重点戦略を柱に、本市が持つ魅力を最大限引き出し、「人や企業から選ばれるまち」「いつまでも住みよい、住み続けたいまち」の実現に向けた土台づくりを、確実に進めていくものとします。
1. 平成29年度の財政見通し
本市の財政構造は、依然として交付税に大きく依存する形となっていますが、平成28年度の交付税額(臨時財政対策債を含む)については、国勢調査人口の減少が反映され、さらにトップランナー方式(歳出効率化に向けた業務改革で他団体のモデルとなるようなものを交付税の算定に反映する仕組み)の導入や、地方消費税交付金などの収入増も影響したことから、平成27年度と比較すると、約2億5千万円の減額となりました。
平成29年度以降も、このトップランナー方式は順次拡大されていくことが示されており、また、国の法人関係税の伸び悩みを受けて財源不足が拡大し、交付税は大幅に減少する見込みです。
一方、歳出においては、待機児童解消に向けた取組の充実や高齢化の影響を受けて、民間保育所措置費や障害者自立支援等の扶助費をはじめ、後期高齢者医療や介護保険特別会計への繰出金といった社会保障関係経費の増加が見込まれます。さらに、財源不足のために借り入れた水道事業会計からの借入金の償還が本格化することから、歳出が膨らみ、非常に厳しい財政運営が見込まれるため、引き続き、事務事業の見直しや経常経費の更なる削減を実施しなければ、予算を組むことができない状況にあります。
2.予算編成の基本方針
平成29年度の予算編成については、平成29年度の収支見通しや平成26年5月に公表した「行財政運営の確立に向けた取組」を前提にした上で、下記の事項に留意して、予算編成を行います。
(1)「年間予算」として編成
当初予算は、原則として「年間予算」として編成します。このため、年度途中の補正予算は、制度改正、災害等緊急なものなど、真にやむを得ないもの以外は、原則として行いません。
(2) 維持管理経費の抑制、事務的経費の節減
現在作成中の「名張市公共施設等総合管理計画」に掲げる基本方針に基づき、既存施設の更新にあたっては、市民ニーズの多様化や今後の人口減少の進展等を踏まえ、施設の集約化や複合化、民間施設の活用、管理運営主体の変更など、施設の効率性向上のための方策を検討するとともに、インフラ施設についても、予防保全型維持管理の導入を進めることで施設の長寿命化に取り組み、維持管理費総額の抑制を図ります。
また、旅費や消耗品費などの事務的経費については、これまでも節減を進めてきましたが、さらに効果的・効率的な行財政運営を図っていく観点から、経費節減の取組を継続します。
(3)ゼロベースでの事務事業の総点検
行政評価(事務事業評価、施策評価)結果や重点事項等市長ヒアリングの結果等を踏まえるとともに、10月25日付で企画財政部より通知する「事務事業の見直し・廃止等の取組について」(以下、「事務事業見直し方針」とする)に掲げた判断結果や方針を、予算編成に反映します。
また、事務事業の見直し方針に関わらず、各部局が、予算要求の過程で、前例踏襲や現状維持といった発想を排除し、ゼロベースで事務事業の再構築を図っていくため、部局別の枠配分方式による予算編成を継続します。
(4) 財政調整基金の計画的な積立と市債借入の抑制
社会経済情勢の変化に伴う財政需要に即応できるよう、財政運営指針に基づき、平成30年度末の財政調整基金積立目標額(2億円)を達成するため、当該基金への積立(5千万円)を行います。
また、後年度の公債費負担及び地方債残高を圧縮するため、原則として新規施設(ハコモノ)整備は実施しないほか、施設の更新(改修)についても、更新期間の平準化や延伸、事業費の低減、市債以外の財源確保等により、市債借入額を抑制します。
なお、投資事業については、通常起債のほか、行政改革等推進債の全額充当により、一般財源要求額が枠配分額の範囲内に収まっていても、市債残高の圧縮のため、査定の中で、事業費の圧縮や延伸をすることがあります。
3.平成29年度重点取組(3つの重点戦略)の推進について
新たな総合計画『新・理想郷プラン』や「名張市まち・ひと・しごと創生総合戦略」においては、次の(1)~(3)の3つのプロジェクトを重点戦略として位置付けており、各部局においては、部局別に配分された予算枠の中で、その実現に向けた取組内容や実施手法等の検討・調整を行い、具体的な事業展開を進めることとします。
(1)元気創造プロジェクト
新たな産業や雇用の創出により、地域経済の活性化を目指した取組を推進するとともに、地域の元気を支え、将来を担う人材の育成に取り組みます。そして、市民とひとつになって様々な取組を続ける名張の元気と活力を全国に発信し、人や企業から選ばれる、活気に満ちたまちの実現を目指した取組を進めます。
○就業機会の確保と雇用の創出
○地域産業を担う人材の育成
○地域産品、地域資源を活用した“名張ブランド”の創出(6次産業化の推進)
○自然・食・歴史・文化などを活用した観光戦略の推進(ニューツーリズムの推進)
○シティプロモーションの展開
(2)若者定住促進プロジェクト
若い世代が安心して働き、結婚・妊娠・出産・子育て・教育がしやすい環境の整備に切れ目なく取り組むとともに、暮らしのベースとなる住宅支援や、多彩な雇用の創出などの施策を推進し、若者が住んでみたい、愛着を抱きいつまでも住み続けたいと感じるまちを目指した取組を進めます。
○名張版ネウボラの推進
○育ちと学び、人と人をつなげる小中一貫教育の推進
○移住・定住の促進と支援
○子育てしやすい労働環境整備
○安心・安全な子育て環境づくり
○病院機能の充実(産婦人科創設に向けた取組)
(3)生涯現役プロジェクト
高齢者はもとより、これから年齢を重ねていく全ての方々が社会の中で意欲的に自らの知識や能力を発揮し、いつまでも健康で生きがいをもって、地域社会の担い手として活躍できるまちを目指した取組を進めます。
○“健康なばり”の推進(名張ケンコウマイレージの推進)
○世代間交流の促進による地域の元気創造
○支え合いの地域福祉の推進(地域福祉教育総合支援システムの構築)
○「達成感」や「連帯感」を育む生涯スポーツの推進
○多様な生涯学習機会の提供
4.部局別枠配分方式による予算編成について
各部局は、行政評価や「事務事業の見直し方針」等を踏まえて、権限と責任をもって、配分額の中で、ゼロベースでの事務事業の総点検を行い、事業の選択・集中やスクラップ・アンド・ビルドによる事業の再構築を図りながら、平成29年度の必要経費を要求することとします。
(1)各部局への枠配分財源(一般財源)
国の地方財政収支仮試算(総務省 8月国予算概算要求時)等をもとに推計した、平成29年度収支見通しで見込んだ歳入を、一般財源ベースで各部局単位に配分します。
配分額は、事務事業の見直し方針などを踏まえたものとし(11頁の「平成29年度の一般会計枠配分額について」参照)、別途、各部局に通知します。
(2)枠配分経費の要求
各部局は、配分額を限度額として、以下の視点で事務事業の評価及び調整を行い、各事務事業の必要経費を要求するものとします。(基金等が枯渇しており、配分額を超える余剰財源は一切ありません。)
・優先順位付けの徹底による事業の中止、廃止
・事業内容や手法の見直しによるコスト縮減
・事業の対象範囲や対象数の精査
・契約方法の見直し(特に随意契約の見直し)
・決算、実績の反映による事業費削減
・既存事業の特定財源確保 など
(3)枠配分経費と新規事務事業
枠配分対象経費は、事務事業シート作成対象事業(扶助費:シートNo.2000番台を除く)とします。
なお、新規事業については、事務事業シートに基づき、新規事業の必要性や効果、発生するコスト、関連事業の廃止(統合)の可能性について十分検討し、各部局の配分額の中で要求するものとします。
また、10分の10の補助事業などであっても、後年度、補助率が下がった場合や人件費や維持管理経費等の後年度負担を勘案した上で、事業継続の必要性を十分検討した上で要求してください。
枠配分の対象外経費は、6頁下段の「予算要求方法」に基づき要求することとし、小事業ごとにこれまでの方法で査定を行う個別査定により対応することとします。
※枠配分対象外経費…人件費(人事研修室要求分。公務災害補償費を含む)、扶助費(事務事業シートNo.2000番台)、選挙執行経費、公債費、特別会計繰出金、企業会計繰出金、伊賀南部環境衛生組合分担金、基金積立金・償還金、過年度市税還付金、臨時職員賃金等(人事研修室、教育総務室要求分)、予備費・一般調整費など
※配分額の設定は、現時点の歳入見通しの下で行っており、今後、国の地方財政対策や国・県補助金等の内容が明らかになった時点で、更に財源不足が生じる場合には、枠配分額の再調整を行うものとします。また、枠配分額の範囲内の要求であっても、予算編成方針の趣旨と照らし合わせて不適切と考えられる経費については、減額査定を行います。