環境回復のシンボル「名張のホタル」を次代へ ホタルの守人
更新日:2022年6月3日
名張のホタルは、江戸時代、藤堂家に献上されるなど、その歴史は古く、全国でも有数の発生地でした。
しかし、昭和40年代以降、住宅開発が進み、その数は減少。一時はホタルが見られなくなりました。
しかし、現在、市内の河川などでは多くの蛍がみられるようになってきました。
その背景には、「名張のホタル」を次の世代に残そうと保全活動をされている吉岡 正夫さんの取組がありました。
吉岡 正夫さん
50 歳でホタルの保全活動を開始。令和4年で 20 年目を 迎える。
市内外からも保全活動の依頼を受けている。
ゲンジボタルとヒメボタルの保全に取り組む
蛍の守人 吉岡正夫さん にお話を伺いました
ホタルの保全活動は私がこの世に生きた証
50歳になった頃。このまま人生が終わるのは寂しい、残り少ない人生で生きた証を残したい、そう思ったのがきっかけです。ホタルの保全活動の研究をしている大学の先生に手紙を出し、保全方法を教えていただき、本格的に活動を始めました。
私が行っていることは、ホタルの幼虫のエサとなるカワニナなどの放流です。ホタルの成虫を放流するだけでは、自然に増えてはいきません。エサを放流する方法は、時間はかかりますが、私がいなくなっても、人の手をかけずにホタルが生育でき、自然と増えていく。まさに私が生きた証を残せるのではないかと考えました。
ホタルのエサとなるカワニナ
ホタルの光が子どもたちの原風景になれば
ホタルは環境回復のシンボル。20年前は、ほとんどホタルは飛んでいませんでした。目に見えて増え始めたのは、活動を始めてから4年目。継続して取り組んできたことで、昨年は、約3万4千匹のホタルが飛び交うまでになり、着実に数は増えてきています。
ホタルの幼虫は川岸に生息しています。流れてきたごみも川岸に溜まってしまうため、幼虫やカワニナの生育の妨げになり本当に困っています。だから、川のごみ拾いも、ホタルの保全活動にとって重要な取組です。 でも、不法投棄が後を絶たず、ダンプ1杯分のごみが捨てられていたこともありました。
生育環境を保つことは難しいですが、壊すことは簡単です。ホタルがいなくならないためにも、不法投棄は絶対にやめてほしいです。
かつてホタルが多く飛び交っていたころは、名張のホタルを見るために、大阪方面から近鉄電車を走らせていたこともあったそうです。実は2年前、電車の車窓からホタルが見られるように、鉄橋近くでもホタルを飛ばしたいとまちづくりの役員でもある元近鉄電車の副社長に提案しました。ホタルが飛ぶまでにはあと1~2年はかかりそうですが、これまでの経験を生かし、実現させたいです。
名張の宝であるホタルが乱舞する風景が、いつまでも子どもたちの記憶に刻まれるようになればいいですね。体力が続く限り、ホタルの保全活動を続けていきたいです。
エサを放流しながらごみ拾いも行う吉岡さん
環境を守るのは私たち
不法投棄という身勝手な行為で困るのは、人間だけではありません。ホタルをはじめ、そこに住む全ての生き物に迷惑がかかります。今ある自然は当たり前のものではありません。次の世代に残すためにも、今一度、環境を守るために自分たちができることを考えてみませんか?
関連リンク
- 広報なばり 令和4年6月号 「蛍の守人」(外部サイトにリンクします)