令和2年度予算編成方針
更新日:2020年8月15日
本市の財政状況は、極度の硬直化に加え、高齢化の進行に伴う社会保障経費や老朽化した公共施設の維持更新経費、度重なる台風等の災害復旧費用の増嵩などにより逼迫し、平成30年度決算においては、実質収支が2億5,140万円と、当初予定していた繰越金を大きく割り込む厳しい結果となりました。財源不足に対応するため、財政調整基金についても4億円を超える多額の取崩しを余儀なくされ、令和元年度からの財政運営にも大きく影響する深刻な状況となっています。
今後も歳入面においては、人口減少に伴う税収の伸び悩みや、消費税増税に伴う不透明な景気動向、また歳出面においては、社会保障費や公共施設維持管理経費に加え、小学校空調設備整備や国体開催に向けた施設整備、給食センターの整備といった大規模な投資事業のほか、病院経営健全化等、課題は山積しています。疲弊しきった財政基盤の回復には相当の時間と労力を要しますが、将来に向かって安定した財政運営基盤の早期確立を目標に、全職員の強い意志と責任感を持って困難を乗り越えていかなければなりません。
令和2年度予算編成にあたっては、こうした状況の下、既存事業の意義や役割を改めて検証し、総合計画に掲げる重点戦略を柱に真に必要だと強く確信を持てる事業に厳選した予算編成を行うものとします。
令和2年度の財政見通し
令和2年度の一般会計予算では、歳入において、生産年齢人口の減少に伴う個人市民税の減収や法人市民税の税率改正に伴う減収など市税収入の減少が見込まれ、地方交付税をはじめ歳入全体でも大幅な増額が見込めないことに加え、歳出において、待機児童解消に向けた取組充実、高齢化の進行等に伴う介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計への繰出金といった社会保障関係経費の増加、三重とこわか国体運営経費、さらにはクリーンセンター火災に係る復旧工事等、これらを積算すると、令和2年度予算の財源不足は相当額に上ると見込まれますことから、既存経費の圧縮は不可避であり、更なる事業見直しを実施しなければ、予算を編成することができない状況にあります。
予算編成の基本方針
令和2年度の予算編成は、令和2年度の収支見通しや下記の事項を踏まえて行います。
年間予算として編成
当初予算は、原則として「年間予算」として編成します。このため、年度途中の補正予算の編成は、制度改正、災害等緊急対応が必要なものなど、真にやむを得ないもの以外は行いません。
行政評価結果、事務事業の見直し項目を踏まえた予算編成
行政評価や重点事業市長ヒアリングの結果等を踏まえるとともに、行政評価報告書に掲げた事務事業の見直しを予算編成に反映します。
また、行政評価による見直し項目にとどまらず、他の既存事業においてもこれまでの成果、進捗状況、市民ニーズの変化等を見極め、前例踏襲や現状維持といった発想を排除し、各部局が責任をもって事業内容と要求額総額を精査し予算要求を行うこと。
維持管理経費の抑制、事務的経費の節減
「名張市公共施設等総合管理計画」に掲げる基本方針に基づき、既存施設の更新にあたっては、施設の集約や複合化、民間施設の活用、管理運営主体の変更など、施設の効率性向上のための方策を検討するとともに、インフラ施設についても施設の長寿命化に取り組み、維持管理費総額の抑制を図ります。
財政調整基金の計画的な積立と市債借入の抑制
財政調整基金は、平成30年度末残高2億円を目標としていましたが、平成30年度に多額の取崩しを余儀なくされたことにより、年度末残高が約1億円と枯渇寸前となっています。災害等の不測の事態や社会経済情勢の変化に伴う財政需要に即応できるよう、計画的に財政調整基金の積立を行う必要があります。
また、後年度の公債費負担を軽減するため、新規施設(ハコモノ)整備は実施しないほか、施設の更新(改修)についても、更新期間の延伸や事業費の低減・平準化、市債以外の財源確保等により、市債残高の大幅縮減を図ります。
令和2年度重点取組(3つの重点戦略)の推進について
総合計画『新・理想郷プラン』においては、3つのプロジェクトを重点戦略として位置付けており、各部局において、その実現に向けた取組内容や実施手法等の検討・調整を行い、具体的な事業展開を進めることとします。
元気創造プロジェクト
新たな産業や雇用の創出により、地域経済の活性化を目指した取組を推進するとともに、地域の元気を支え、将来を担う人材の育成に取り組みます。そして、市民とひとつになって様々な取組を続ける名張の元気と活力を全国に発信し、人や企業から選ばれる、活気に満ちたまちの実現を目指した取組を進めます。
- 若者や女性に魅力ある雇用の創出
- 直売所、加工所を中心とした農商工の連携
- 事業創出・承継の推進、支援体制の構築、人材育成
- 農福連携の推進
- 忍者を核としたニューツーリズムの推進
- 広域連携DMOを中心とした広域観光の推進及び外国人誘客の強化
- シティプロモーションの展開
- 移住の促進と支援
若者定住促進プロジェクト
若い世代が安心して働き、結婚・妊娠・出産・子育て・教育がしやすい環境の整備に切れ目なく取り組むとともに、暮らしのベースとなる住宅支援や、労働環境の整備などの施策を推進し、若者が住んでみたい、愛着を抱きいつまでも住み続けたいと感じるまちを目指した取組を進めます。
- 妊婦応援都市の具現化に向けた取組(名張版ネウボラ、こそだてサポーター、子育て支援員等)
- 空家バンク等による中古住宅流通促進
- 名張版コミュニティ・スクールと小中一貫教育の推進
- 認定こども園化の促進など待機児童解消に向けた取組と保育環境の向上
- ばりっ子ピカピカ小1学級体験プロジェクトの充実
- 中学校給食導入に向けた取組
- 産婦人科創設に向けた取組
生涯現役プロジェクト
高齢者はもとより、これから年齢を重ねていく全ての方々が社会の中で意欲的に自らの知識や能力を発揮し、いつまでも健康で生きがいをもって、地域社会の担い手として活躍できるまちを目指した取組を進めます。
- 地域ビジョンの達成に向けたゆめづくり協働事業による支援
- まちじゅう元気!!プロジェクトの推進
- がん検診受診率向上など医療費適正化の推進
- ケンコー!マイレージの充実による健康増進機会の提供
- 地域福祉教育総合支援システムの充実による全世代・全対象型の包括的支援体制の構築
- 国体開催に向けた体育施設の整備
- 伊賀地域の医療提供体制の再構築
その他の留意点
事業実施財源の確保のため、特定財源の無い事業はもとより、国県補助金等、財源のある事業についてもこれに安住せず、民間や財団が提供している助成金など外部資金の確保、クラウドファンディングなどの手法の研究など、あらゆる方法を検討すること。
事務事業遂行上、人員配置を精査するなど、引き続き適正な定員管理に努めるとともに、総勤務時間の縮減を図るため、事務事業の仕組み、実施手法を点検するなど、給与費全体の抑制に努めること。
国・県からの補助金等を活用し実施している事業で、補助金の終了や縮減があるものについては、一般財源負担の増により事業継続を図るのではなく、特定財源の状況に合わせて事業を廃止・縮減すること。
法令等に義務付けのない諸計画の策定等については、当該計画の真の実効性や策定の必要性を十分検討し、簡略的な指針等により、所期の目的が達成できる場合は、これに代替するなど、事務の効率化や経費節減を図ること。
各種事業の中には、部局の内外を問わず連携を図りつつ事業展開を行うことで、その相乗効果が期待できるものがあります。「縦割り」による事業内容や予算の重複を排除するため、他部局との連携・調整をいとわず、事業効果や効率性を最大限発揮できるよう留意すること。