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名張市

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夏見廃寺

更新日:2023年8月16日

飛鳥・奈良時代をしのぶ夏見廃寺

  • 夏見廃寺復元金堂の画像

    夏見廃寺復元金堂

夏見廃寺は名張川右岸の夏見男山南斜面にある古代寺院跡で、出土遺物から 7世紀の末から8世紀の前半に建立されたと推定されています。

天武天皇の娘 大来皇女が建立

  • 復元した講堂の画像

    復元した講堂

夏見廃寺については、醍醐寺本薬師寺縁起に「大来皇女、最初斎宮なり、 神亀2年(725)を以て浄(御)原天皇のおんために昌福寺を建立したまう。夏身と字す。もと伊賀国名張郡に在り。」と記載された個所があり、その昌福寺が夏見廃寺と考えられています。

壬申の乱と名張

    天智天皇の子、大友皇子と天皇の弟、大海人皇子(天武天皇)の間に、 皇位継承をめぐって壬申の乱(672年6月)が起こり、大海人皇子が吉野で秘かに挙兵し、美濃国不破関に向かう途中、夜半に名張に着きます。 駅家に立ち寄り「天皇、東国に入ります」と告げますが、これが、これまでの「大王」が「天皇」と呼ばれた最初であるという説があります。

    戦いに勝った大海人皇子は、3か月後に飛鳥に帰りますが、その前夜名張に 一泊しています。往復とも夏見のあたりを通り、名張川を渡ったと思われます。天武天皇にとって出陣と凱旋の地、名張を終生忘れられなかったと思われます。

    伽藍配置

    • 夏見廃寺の伽藍配置の画像

      夏見廃寺の伽藍配置

    おもな建物は、斜面を段状に整地して、最上段中央部に金堂、その東に塔、 金堂西南の下方に講堂を配置しており、地形に従った変則的な伽藍配置をとっています。寺の周囲は、南側を堀立柱塀、北と東西の三面を築地塀が 取り囲んでいます。

    金堂

    • 発掘時の金堂の画像

      発掘時の金堂

    金堂は、河原石の石積基壇で、周囲に河原石を敷き詰めた犬走りがついています。基壇上の礎石配置は、内陣と外陣の柱間がともに間口3間、奥行2間という特異な配置をしています。このような柱配置の建物で現存するものはありませんが、法隆寺の玉虫厨子の宮殿のような建物が建っていたと推定されています。

    金堂正面には、河原石を並べて作った階段がつけられています。

    • 発掘時の塔の画像

      発掘時の塔

    塔は金堂と同様の石積基壇で上面の礎石の配置から、塔の初層が一辺5.3メートルの方形で、こじんまりとした三重塔が推定されています。中央の中心柱を支える心礎には、上面に舎利を埋納した円形の舎利孔があります。

    講堂

    • 発掘時の講堂の画像

      発掘時の講堂

    講堂は、河原石の石積基壇で基壇上の礎石配置から間口7間、奥行4間の規模の大きい南北棟の建物になります。内陣の西側半分はコの字形に一段高くなって、須弥壇になっています。基壇の東側には、参道の石敷があり、東側が入口であったことがわかります。

    これらの主な建物の礎石は、いずれも火を受けた痕跡があり、出土土器の年代から10世紀の末ころ一度に焼失したと推定されています。

    出土品

    せん仏は仏像を半肉彫りした雌型に粘土をつめ、取り出した粘土板を焼き上げ表面に金箔をはって仕上げたものです。夏見廃寺からは、一辺が約52センチの大きさで、沙羅双樹の前で多くの弟子達に説法する阿弥陀如来を表した大型多尊せん仏や沙羅双樹を背にして両脇に菩薩を配置する如来像を表す方形三尊せん仏、如来坐像を一体だけ表した小さな独尊像などが出土しています。
    大型多尊せん仏の一部である須弥壇せん仏は、燻香炉を守る供養者、楽器を奏でる楽人、獅子などが繊細に表現されています。この須弥壇の端には漢字が記されていて、「甲午年口口中」と読むことができます。甲午年は、西暦694年にあたり、この年にせん仏が造られたと推定されます。この年は、持統天皇が藤原京へ遷都した年でもあります。

    方形三尊せん仏(右側複製)の画像 文字せんの画像

    左図:方形三尊せん仏(右側複製) 右図:文字せん

    復元品

    • 復元せん仏壁の画像

      復元せん仏壁

    金堂の基壇上に残る礎石配置をもとに、特異な柱配置を中心にした金堂の一部を実物大に復元しています。

    復元は、夏見廃寺の金堂と同じころ建立された法隆寺の金堂や飛鳥山田寺の発掘調査の成果を参考にし、朱塗りで、ふくらみをもったエンタシスの柱や緑青色で塗った連子窓があります。

    金堂内部の正面中央の柱間には、金堂跡から出土した各種のせん仏(仏像をレリーフした焼き物)をもとにせん仏壁を復元しています。

    せん仏の復元は大型多尊せん仏を中心に独尊せん仏、三尊せん仏など大きさのちがう5種類のせん仏709個を組み合わせ、はりつけて縦2.8メートル横2.1メートルの金色の壁になっています。

    夏見廃寺展示館

    • 夏見廃寺跡 案内図の画像

      夏見廃寺跡 案内図

    夏見廃寺跡は歴史の広場に整備され、夏見廃寺展示館があります。

    • 開館時間:午前9時から午後5時
    • 休館日:
      月曜日、木曜日、12月29日から1月3日、
      ただし月曜日・木曜日が祝日にあたるときはその翌日
    • 入館料:
      一般 200円
      高校生 100円
      小中学生 無料
      名張藤堂家邸跡+夏見廃寺展示館 共通入場券300円
    • 所在地:名張市夏見2759

    ※駐車場はマツヤマSSKアリーナ(総合体育館)前をご利用ください。    

    • お問い合わせ先:
      電話番号:0595-64-9156

     

    夏見廃寺展示館の画像

    夏見廃寺展示館

    周辺案内図

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    教育委員会事務局 文化生涯学習室
    電話番号:0595-63-7892
    ファクス番号:0595-63-9848
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    名張川右岸の夏見男山南斜面にある古代寺院跡である夏見廃寺の紹介です。