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名張市

施政方針(平成22年6月)

更新日:2016年1月22日

はじめに

本日、ここに名張市議会第339回定例会の開会にあたり、市政運営に対する私の基本的な考えを申し述べ、議員の皆様、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
さて、わが国の経済は、一昨年のリーマンショック以降の世界的な経済危機から持ち直しているものの、円高やデフレの影響もあり景気低迷の長期化とともに、雇用情勢についても、依然として厳しい状況が続いています。
また、昨年は、国政において政権交代といった大きな変革の年でもありました。新しい政権では、子ども手当や高校の無償化などの新たな政策が出されるほか、国が今まで行っていたものを地域に任せる、いわゆる、地域主権の国づくりへの転換を掲げ、同時にこれまでの義務づけ・枠づけの見直しや条例制定権の拡大とともに、ひも付き補助金から一括交付金化への転換が図られようとしています。
このことは、地方自治体の自らの判断と責任において自主的・自立的な行政運営を推進する一方で、いよいよそのための基礎自治体として行財政基盤の強化に取り組んでいかなければならないことを意味するものでもあると考えます。
そういったことでは、福祉の理想郷の実現に向けた今日までの私どもの様々な取組が、この地域主権への礎になるものであり、時宜を得たものであったと確信するところであります。 

私は、本年4月、市民の皆様方から信任をいただき、引き続き市長として名張市の舵取りを担わせていただくことになりました。改めて、市民の皆様一人ひとりの幸せの実現に向けて、そして、未来に向かって名張市を躍進させていくことの使命を託された責任の大きさに身の引き締まる思いを致しているところであります。
平成16年、「人間尊重を原点に自立と支えあいでつくる福祉の理想郷」をまちづくりの基本理念と位置付け、策定しました総合計画「理想郷プラン」に基づき、今日まで様々な施策展開に取り組んでまいりました。とりわけ、2期目の際にお示しした「6つの政策と40の約束」を中心に進めてまいりました。
まちの保健室や夢づくり広場の開設をはじめ、乳幼児医療費助成制度の拡充、特別支援教育の充実、新たな資源分別品目の拡大や家庭ごみの有料化など、資源循環型社会への取組の推進、ヤマト運輸コールセンターの開設および藤森工業株式会社やノーベル製菓株式会社の企業誘致による雇用の創出、安心して市民活動を行っていただくための市民活動保険制度を創設するとともに、小中学校の耐震改修の計画的な推進、ゆめづくり地域交付金の交付、地域づくり組織条例の制定、総合窓口の開設など、積年の重要課題を着実に推進させることができました。
また、財政面におきましては、市政一新プログラムに基づく改革に次ぐ改革により、大幅な経費縮減を図ることができました。
なかでも、自立した持続可能な自治体として未来に躍進できるよう着実な方向付けができましたこと、また、この度、近畿大学工業高等専門学校の移転合意が整いましたこと、ひとえに議員の皆様方をはじめ、市民の皆様方の格別のご理解とご協力の賜物と心から感謝申し上げますとともに、引き続きましてのご支援ご指導を賜りますようお願い申し上げます。 

1.達成から躍進へ(5つの宣言)

平成22年度は、総合計画「理想郷プラン」後期基本計画のスタートの年となります。
引き続き、総合計画の着実な実現を図るため、財政健全化の達成をはじめ、安心できる2次救急医療システムの構築、さらには、教育環境の充実、子育て・子ども支援や雇用の創出など、これまでの取組をさらに進化させるとともに、改革の総仕上げを成し遂げ、時代に即応できる足腰の強い名張市へと進化・躍進させるために、的確な市政運営を行っていかなければならないと考えております。
このことから、「福祉の理想郷」を実現し、達成から躍進へと進化させるために、3期目の取組方針として次の「5つの躍進宣言」を述べさせていただきます。

第1は、『安心・安全のまちづくり』であります。

安心できる医療体制の整備、高齢者・障害者福祉および地域福祉の推進、さらには、安心できる暮らしの創造を図ることとしています。
具体的には、伊賀地域の公立2病院の機能再編と連携強化による2次救急医療体制の構築、在宅医療の充実、市立病院における療育、小児救急の機能強化を進めてまいります。
また、老人福祉施設の整備や障害者の就労の支援、日常生活支援ネットワークや有償ボランティア活動など地域支援体制の整備のほか、消防・救急・救助体制の充実とともに、地域づくり組織などと連携した防火・防犯・防災の危機管理体制を確立してまいります。

第2は、『元気・活力あるまちづくり』であります。

ここでは、雇用の創出、住民主体のまちづくり、名張ブランドづくりの推進並びに産業と教育の連携による元気で活力あふれるまちづくりを目指してまいります。
取組内容としましては、引き続いての企業誘致や新たな産業の創出による雇用の拡大、また、地域ビジョン策定の支援やコミュニティビジネスの促進、さらには、地産地消のシステムの構築、「名張ブランド」となる地場産品の確立に取り組み、観光、物産とのネットワーク化を図り情報発信に取り組むほか、近畿大学工業高等専門学校と地域企業等とが連携した共同研究事業を推進してまいります。

第3は、『未来につなぐまちづくり』であります。

少人数教育の推進や教育環境の充実、子育て・子ども支援の充実に取り組み、未来につなぐことのできるまちづくりを推進してまいります。
推進内容としましては、30人以上の全学級への教育サポーターの配置、小中学校の全施設の耐震化と総合教育センター構想の具体化のほか、福祉・医療と教育が連携した療育センターの整備、さらには、待機児童ゼロの実現、幼保一元化の推進、病児・病後児保育の実施、緊急サポート事業の充実など、安心して産み、育てることのできる保育環境の充実に取り組んでまいります。

第4は、『環境共生の魅力あるまちづくり』であります。

資源循環型社会の構築のほか、魅力ある市街地の形成、コミュニティ交通の充実や下水道事業の計画的な推進による環境共生の魅力あるまちづくりを目指してまいります。
具体的な取組としましては、引き続きましてのごみの排出抑制と減量化を推進するとともに、草木類や生ごみなどの堆肥化、間伐材や木くずなどの有効活用を図るバイオマスタウン構想の実現、さらには、賑わいある都市空間、利便性や魅力ある市街地の形成、コミュニティ交通の支援、交通不便地の解消に取り組みます。また、公共下水道事業や農業集落排水事業の計画的な推進とともに、大型合併浄化槽の市への計画的な移管に取り組んでまいります。

第5は、『躍進のシステムづくり』であります。

財政健全化の実現、市民主権や情報共有の推進、質の高いサービスの向上を図るなど躍進のシステムづくりに推進してまいります。
内容としましては、第3次となる市政一新プログラムおよび財政早期健全化計画の着実な推進を図るほか、地域ビジョンの策定支援と着実な実現のためのシステムの構築、市民情報交流センター機能の充実・強化、さらなる情報公開の推進とパブリックコメント制度等の充実、考査委員会による外部評価過程の公開など一層の情報の共有化に取り組みます。
また、総合窓口センター機能の充実とともに、住民基本台帳カード(住基カード)のさらなる機能充実に取り組むこととしております。

以上、5つの宣言を重点的に推進し、確実に達成することにより、時代に即応できる足腰の強さを身につけ、活力あふれた未来に向かって躍進できるものと考えております。

2.主要施策の展開について

本年は、4月に市長選挙がありましたことから、平成22年度の当初予算を骨格予算とさせていただいておりましたので、この6月定例会に補正予算として政策的経費や新規経費を計上させていただいております。
それでは、本年度の主要施策の概要につきまして、総合計画「理想郷プラン」後期基本計画に掲げる施策ごとに順次申し述べてまいりたいと存じます。

まずは、第1の柱、「互いに認めあい支えあう、健康で安心できる暮らし」についてでございます。

名張市人権センターや地域づくり組織等の関係団体などと連携しながら、人権教育をはじめ、相談業務や情報提供による啓発活動を通じ、さまざまな人権課題の解決に取り組んでまいります。
また、男女共同参画の推進につきましては、活動拠点である男女共同参画センターの市民へのPRをはじめ、学習会や相談業務のほか交流・情報発信を通じて、市民や事業者、関係団体とのネットワークを広げてまいります。
地域主体のまちづくりにつきましては、本年5月に鴻之台希央台地域が名張地域から独立し、15番目の地域づくり組織となる「中央ゆめづくり協議会」が設立されました。この市内15地域の地域づくり組織を中心とした住民主体のまちづくりの推進に向け、今後も自主自立に向けた法人化やコミュニティビジネスの提案など積極的に支援するとともに、市民公益活動実践事業や新しい公推進委託事業の活用促進を図ってまいります。
次に、地域福祉の推進につきましては、人の力と地域の力を生かしながら、地域あんしんねっとと地域ささえあい事業を展開し、支援が必要な人を地域で支えることのできるネットワークの形成を目指してまいります。
また、住民相互の協力と、支えあいによる健康づくりを目指し、地域づくり組織、市民活動団体、まちの保健室などとの連携のもと、一人ひとりが健康づくり活動に取り組めるよう支援してまいります。
伊賀地域医療体制につきましては、伊賀市と取り交わした確認書に基づき、両公立病院の連携を強化し、早急に機能分担や経営統合の検討を進め、限られた医療資源を効果的に活用し、安心できる2次救急医療体制を構築してまいります。
さらに、平成22年度に小児科医師1名が増員され4名体制となったことから、小児2次救急機能の充実、療育センターの医療面でのサポートなどを柱とする小児医療センターの整備に向けて取り組みます。
また、市立病院の経営につきましても、引き続き改革を推進してまいります。
高齢者福祉の推進につきましては、特別養護老人ホームや介護付有料老人ホーム、認知症グループホーム、小規模多機能施設などの整備を推進いたします。
次に、障害者福祉の推進につきましては、障害者の就労支援の拡充に取り組んでいくとともに、療育センターの設置に向けて推進体制を整備し、事業を展開してまいります。また、近鉄桔梗が丘駅のバリアフリー化工事につきましては、平成21年度に供用開始した構外エレベーターに続き、平成22年度中に構内エレベーター等の供用を開始できるよう努めてまいります。
子育て施策の推進につきましては、本年度も引き続き保育所の民営化を推進するとともに、待機児童の解消や学童保育の充実を図るなど、安心して産み育てられる子育て環境づくりを進めてまいります。
あわせて、幼保一元化につきましても、認定こども園制度の調査・検討を行うなど官民協働での取組を推進してまいります。
雇用対策につきましては、農業分野における障害者雇用の促進に向けた平成21年度の体験活動、ジョブトレーナー育成研修などの取組を踏まえ、平成22年度は実践雇用を進めてまいります。
また、企業誘致としまして、新神戸電機株式会社名張事業所において計画されている新たな蓄電デバイス事業等、今後成長が見込まれる先端産業の立地を推進し経済基盤の強化を図るとともに、雇用の創出に努めてまいります。

第2の柱、「美しい自然に包まれた、憩いと潤いのある暮らし」についてでございます。

環境対策のうち、地球温暖化防止対策の取組としまして、7月7日には「クールアース・デー」におけるライトダウン運動やエコ通勤など、低炭素社会の実現に向けての取組を推進するとともに、市民生活の中で省資源・省エネルギーに向けた環境にやさしいエコ活動がさらに推進されるよう、啓発に努めてまいります。
次に、ごみゼロの推進につきましては、生ごみの分別、資源化の推進として、モデル地区での試行事業に取り組むなど、資源循環型社会の構築と、良好な環境保全を目指してまいります。
また、バイオマスタウン構想に基づき、事業化を検討している民間企業や関係団体に市が加わって推進協議会を設置し、事業展開を図ってまいります。
続いて、農村ふれあい交流空間の整備としまして、関係地域等と連携し、田園・歴史・文化ミュージアム構想の具体化に取り組んでまいります。

次は、第3の柱「人が行き交い活力あふれる、安全で快適な暮らし」についてでございます。

都市計画につきましては、土地利用に関する制度や総合的な交通体系の早期構築に努めてまいります。
防災の推進につきましては、新消防庁舎が6月21日から、また、防災拠点施設としての防災センターが7月1日から供用を開始することになりますことから、市民の防災などについての学習の場や災害発生時の災害対策本部の活動拠点として啓発活動に取り組んでまいります。
また、引き続き消防体制のさらなる強化、充実に向けた消防広域化に取り組みます。
さらに、FMなばりやメールを活用した災害時の情報提供システムの構築を進め、より地域と密接に連携しながら災害時要援護者対策についても進めてまいります。
次に公共下水道事業につきましては、引き続き効率的で健全な公共下水道経営に取り組んでまいります。また、中央浄化センター第2系水処理施設について、平成23年度の供用開始に向け、増設工事を推進するとともに、引き続き名張地区市街地の面整備、住宅地への接続を図るなど、公共下水道の普及拡大に取り組んでまいります。
農業集落排水事業につきましては、赤目南部地区の平成23年度完成を目指して事業推進を図るとともに、比奈知地区の事業採択に向けた準備を進めてまいります。また、長瀬、上長瀬地区の市町村整備型戸別浄化槽につきましても、事業推進をしてまいります。
次に、水道事業につきましては、第4次変更事業が平成22年度で完了することから、この度策定した次期水道事業基本計画である「名張市水道ビジョン」により、計画的に基幹施設の整備を進めてまいります。
市営住宅の整備につきましては、民間の賃貸住宅を市営住宅として借り上げる「借上げ方式」により整備を進めることとし、平成23年度当初より入居を開始できるよう進めてまいります。
次に、コミュニティ交通につきましては、地域の自主的な取組による地域住民のニーズに合ったコミュニティバス運行の適切な支援を行います。
また、国道368号の整備につきましては、名阪国道上野インターチェンジから国道165号までの区間における4車線化と、長瀬地内の拡幅改良事業を促進してまいります。
地域資源を生かした新産業の創造としまして、新たな循環型産業の起業家の育成に努めるとともに、農林水産物など名張の地域資源を生かした「名張ブランド」の研究・育成を進めることとし、観光並びに物産の振興へとつなげてまいりたいと考えております。

続きまして、第4の柱であります「心豊かな教育と文化に包まれた、ゆとりある暮らし」でございます。

学校教育につきましては、名張市がめざす教育の姿(方針)や施策の基本的な方向などを体系的に整理し、子どもを中心に据えて、市民みんなで子どもたちの教育環境を整えるための、教育の総合的な計画である「名張市子ども教育ビジョン ばりっ子いきいきプラン」を策定し、教育にかかる新たな課題解決に取り組んでまいります。
また、学校施設の耐震補強工事につきましては、平成22年度に、名張小学校、名張中学校の2校の校舎の耐震補強工事を実施してまいります。
さらに、小中学校の規模、配置の適正化につきましては、平成21年度に策定しました基本方針に基づき、関係者の合意形成に努めるなかで実施計画を作成し、適正化に向けた事務事業を推進してまいります。
また、名張市の社会教育施設につきましては、快適な利用環境を保つため、必要な改修や維持管理に努めます。
高等教育機関等との連携につきましては、近畿大学工業高等専門学校の地域に根ざした学校づくりに向けて、地域や産業界との連携、協力が図れるよう引き続き取り組んでまいります。

最後に、5本目の柱であります「新しい時代を拓く自立と協働による地域経営」についてでございます。

「新しい公」の推進につきましては、地域予算制度の見直しや、よりふさわしい主体での公共サービスの実施、まちづくり情報発信支援など、「新しい公」を推進するための参画・協働の仕組みづくりに努めてまいります。
未利用公共用地の利活用につきましては、地域住民との協働により土地利用の方向性を構築してまいります。また、進出事業者の決定した鴻之台公共施設用地につきましては、早期の開業に向けて協議を進めてまいります。
市民サービスの向上につきましては、本年4月に近鉄桔梗が丘駅南口に市内3ヶ所目となる自動交付機を設置したところであり、引き続き住民基本台帳カードの普及拡大など窓口業務の効率化を図り、市民の皆様に利用していただきやすい行政サービスの提供に努めてまいります。
持続可能な財政運営につきましては、平成22年6月に収納強化対策の総括的な位置付けとして設置した「債権管理室」において、徴収困難事案を専門に取り扱うほか、電話催告による早期徴収の強化や納付手法の改善に取り組み、税財源等の確保に努めてまいります。
合わせて、名張市財政早期健全化計画に基づき、財源不足額の縮減を図るなど、財政健全化を進めてまいります。

おわりに

以上、市政運営に対する所信と講じるべき主要施策について申し上げました。今後も、全職員一丸となって市民の負託に応えるよう全力を尽くす覚悟でございますので、議員各位をはじめ市民の皆様のなお一層のご支援ご指導をお願い申し上げ、施政方針といたします。

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